オレンジワインは、いまや多くのワインファンにとって身近な存在となりました。
しかしその一方で、味わいが大味で重たく、輪郭のぼやけたものが少なくないのも事実です。
洗練されたオレンジワインに出会う機会は、むしろ減っているのかもしれません。
今回ご紹介するワインは、そうした既存のイメージを一歩先へと進める存在です。
イタリア品種ならではの奥行きとニュアンスをしっかりと感じさせながら、
現代オーストラリアのナチュラルワインが持つクリーンさと精度を併せ持つ、
バランスに優れた仕上がり。従来のオレンジワインとは一線を画す、
より洗練された味わいが広がります。
たとえるなら、フリウリの素朴で力強いオレンジワインの魅力をそのままに、
現代的な解釈で磨き上げた“洗練されたスタイル”。
どこか野暮ったさも魅力だった世界観が、
よりスマートで美しい表現へと昇華されています。
手がけるのは、オーストラリアにおけるピノ・グリ、
そしてオレンジワインの先駆者とも言えるケヴィン・マッカーシー。
イタリアワインへの深い敬意から生まれたこれらのワインは、
単なるトレンドではなく、確かな思想と経験に裏打ちされたものです。
ぜひこの機会に、オレンジワインたちの新たな魅力と可能性を体験してみてください。
MDI(Murray Darling Italy)
オーストラリア・ヴィクトリア州マーレー・ダーリング
生産者:ケヴィン・マッカーシー氏
「ピノ・グリのゴッドファーザー」が挑む新境地:伝説の醸造家とオーストラリア初のオレンジワイン
MDIを率いるのは、
オーストラリアにおけるピノ・グリジョの先駆者として知られる
ベテラン醸造家、ケヴィン・マッカーシー氏です。
1990年代にモーニングトン・ペニンシュラで「T’Gallant」を設立し、
同国にピノ・グリを定着させた立役者である彼は、
同時にオーストラリア初のオレンジワインを世に送り出した人物としてもその名を刻んでいます。
しかし、彼の探求心はそこで止まりませんでした。
イタリア・フリウリの巨匠ヨスコ・グラヴナー氏を師と仰ぎ、
2007年から2018年にかけて何度も現地を訪れて得た知見。
それは単なる「オレンジワイン」という手法の導入に留まりませんでした。
グラヴナー氏の教えと、
彼が造り出すワインから受けた衝撃はケヴィンの運命を大きく変え、
2008年にはシャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、モスカート・ジャッロの3品種から、
オーストラリア初とされる国産オレンジワインを誕生させるに至ったのです。
この革新的な精神は、現在、息子のトム氏ら次世代へと受け継がれ、
MDIという新たなステージで結実しています。
イタリアの地産ワインが持つ「落ち着き」と、
オーストラリアらしい「明るい親しみやすさ」を両立させるという独自のビジョン。
それは、イタリア文化への深い理解とリスペクトが、
ケヴィン氏の卓越したスキルを通じて正しく表現された、
彼にしか到達できない新境地といえるでしょう。
歴史的な「2つの畑」が成す根幹〜今もっとも「熱い」再評価が進んでいる産地、マレー・ダーリング〜
MDIのワインを語る上で欠かせないのが、
マレー・ダーリングにおけるイタリア品種栽培の歴史を象徴する2つの至宝のような畑です。
- Pasut Vineyard: 1980年代にスロヴェニア移民の手で拓かれた歴史的畑。
- Chalmers Vineyard: イタリア系品種の多様性を広めた、オーストラリアワイン界の功労者「チャルマーズ家」の畑。
ケヴィン氏がこれら先駆者たちと20年以上にわたって築き上げてきた強固な信頼関係があり、
そこから得られる圧倒的に高品質なブドウこそが、MDIの唯一無二の味わいを支えています。
伝統へのリスペクトと、パンクな遊び心
醸造面では、野生酵母による自然発酵を基本とし、
添加物は最小限の酸化防止剤のみ。ケヴィン氏と、
次世代を担う息子のトム、娘のセリアら家族が一丸となり、
卓越したスキルで「Lo-Fi(ローファイ)」なワイン造りを実践しています。
特に彼らが「Skin.Ed」と呼ぶ、
数日から数ヶ月に及ぶ徹底したスキンコンタクトを施した白ワインは、
複雑なテクスチャーと美しい黄金色を備え、
既存の枠組みを心地よく飛び越えていきます。
一方で、そのブランディングには「Punk is dead」
といった挑発的なメッセージや前衛的なアートワークを採用。
伝統を深く理解しているからこそできる、
常識への「一石」が、ラベルからも溢れ出しています。
一線を画す、その「飲み心地」
MDIのワインを一口飲めば、
巷に溢れるイタリア品種のワインとは一線を画す、
明確なビジョンに驚かされるはずです。
フリウラーノ、アンソニカ、リボッラ・ジャッラ、
そしてサンジョヴェーゼやレフォスコ。
それらは、イタリア文化への深い敬意と理解に裏打ちされながらも、
驚くほどクリーンで「Smashable(ガブガブ飲める)」なドリンカビリティを備えています。
オーストラリアのワイン業界が内包する圧倒的な多様性と、
ケヴィン・マッカーシーという天才の情熱が詰まったアート作品。
単なる流行ではない、
本物の「イタリアン・ソウル・フロム・オーストラリア」をぜひ体験してください。
● MDI アンソニカ フリウラーノ 2023 ● MDI Ansonica Friulano 2023 ●
● エム・ディー・アイ / Murray Darling Italy=MDI ●
名称:MDI アンソニカ フリウラーノ 2023
種類:オレンジ
生産者:エム・ディー・アイ(ケヴィン・マッカーシー)
産地:オーストラリア・ヴィクトリア州マーレー・ダーリング
品種:アンソニカ 72%、フリウラーノ 28%
アルコール度数:12.5%
酸化防止剤(SO2):8mg/L
酵母:天然酵母
容量:750ml
価格:3,630円税込
MDI Ansonica Friulano 2023は、シチリア由来のアンソニカとフリウリ由来のフリウラーノという南北イタリアの個性を融合させた、MDIを象徴するスキンコンタクトワインです。ブドウはスロヴェニア移民によって拓かれた歴史あるPasut VineyardとVinifera Vineyardから収穫され、それぞれ野生酵母による自然発酵を行い、16日間および120日間のスキンコンタクトを経てプレス。新樽を使用しない228〜500Lのオーク樽で約4ヶ月熟成後、無清澄・ノンフィルター、最小限の酸化防止剤のみでボトリングされます。グラスにはオレンジがかった濃密な黄金色を湛え、甘やかな花の香りにマンダリンやアプリコット、ジンジャーのニュアンスが重なり、こなれたタンニンと旨味がしっかりと広がります。スキンコンタクト由来の豊かなテクスチャーを持ちながらも過度にならず、ミネラルと柑橘の伸びが全体を引き締め、ドライで洗練された余韻へと導きます。イタリアワインの構造美とオーストラリアらしい果実の明るさが高次元で融合したこの一本は、ナチュラルなアプローチと明確な設計思想が共存する、MDIの世界観を体現する中核的存在です。
● MDI リボッラ・ジャッラ 2025 ● MDI Ribolla Gialla 2025 ●
● エム・ディー・アイ / Murray Darling Italy=MDI ●
名称:MDI リボッラ・ジャッラ 2025
種類:オレンジ
生産者:エム・ディー・アイ(ケヴィン・マッカーシー)
産地:オーストラリア・ヴィクトリア州マーレー・ダーリング
品種:リボッラ・ジャッラ 100%
アルコール度数:12.8%
酸化防止剤(SO2):9mg/L
酵母:天然酵母
容量:750ml
価格:4,620円税込
MDI Ribolla Gialla 2025は、イタリア・フリウリ原産種のリボッラ・ジャッラを用い、MDIの哲学を最も色濃く体現した長期スキンコンタクトのオレンジワインです。ブドウは、オーストラリアにおけるイタリア品種栽培の礎を築いたChalmers Vineyardから収穫され、ステンレスタンクにて野生酵母による自然発酵を実施。約31日間の果皮浸漬ののちバスケットプレスされ、新樽を用いない228〜500Lのオーク樽で約5ヶ月熟成、無濾過・無清澄、最小限の酸化防止剤のみでボトリングされます。グラスにはほのかにオレンジがかったイエローゴールドの色調を湛え、茶葉やセージ、すりおろしたリンゴのような果実のニュアンスに、ドライオレンジやハーブ、スパイスの複雑な香りが重なります。口に含むと、スキンコンタクト由来のしっかりとしたタンニンとミネラル、塩味を伴う旨味が広がりながらも、どこか抜けのある爽やかさが共存し、密度と軽やかさが絶妙なバランスで調和します。白ワインの枠を超えた構造と奥行きを持ちながら、イタリアの伝統的な醸造思想とオーストラリアの果実の明るさ、そしてローファイなアプローチが高次元で融合した、MDIの世界観を象徴する中核的キュヴェです。
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